本:『朝になったら、タッチミー』Kindle版／片岡義男 (著)

この小説は、ハーレースーパーグライドに乗る美女を追跡する4人の男たちの物語です。彼女はなぜ走り続けるのか、彼らはなぜ追い続けるのか、その謎が徐々に明らかになっていく過程がスリリングで、読者を引き込みます。

この小説の魅力は、オートバイの追跡シーンにあります。片岡義男はオートバイ好きとして知られており、その描写は非常にリアルで情感豊かです。彼はオートバイの種類や性能、音や振動、風や景色などを細かく描き出し、読者にオートバイの魅力を伝えます。

また、オートバイを通じて登場人物たちの心理や感情も表現しています。例えば、敏幸はハーレースーパーグライドに乗る美女に惹かれて追い続けますが、その理由は彼女の美しさだけではなく、彼女のオートバイに対する愛情や自由さにもあります。彼は自分のオートバイと比べて彼女のオートバイを羨ましく思い、彼女と一体化したいという欲求を持ちます。

一方、この小説のもう一つの魅力は、衝撃的なラストにあります。この小説は、最初から最後まで一晩の出来事を描いていますが、その終わり方は読者の予想を裏切ります。美女の動機や彼らの関係が明らかになり、それぞれの運命が決まります。

しかし、その結末は悲劇的でありながらも美しいものです。片岡義男は人間の孤独や愛について深く考えさせられる作品を書きました。

私はこの小説を読んで感動しました。片岡義男はオートバイという特殊な題材を使って、普遍的なテーマを描き出しました。この小説は、オートバイ好きだけでなく、人間ドラマが好きな人にもおすすめです。